公認会計士ライターの藤沼です。

チュートリアル徳井義実さんが個人で設立した会社「チューリップ」が、東京国税局の税務調査を受け、2018年までの7年間で計約1億2000万円の申告漏れを指摘されていたことが報じられていますね。

Yahooニュースにまで載っています。(https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191023-00000079-sph-ent)

ファンの方々としては、「故意にやったものなのか?」が気になると思いますので、その視点で会計士が解説します。

なお、本記事はYahooニュースの内容を正とした場合の考察です。

 

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脱税疑惑のチュートリアル徳井義実さんについて、公認会計士が解説。

そもそも何がいけないのか? 情報を整理します。

税務上の問題点は、2つです。

  • 2012年~2015年までの4年間、徳井さんが個人で使った「旅費」「衣服代」などを、個人会社チューリップの「経費」として計上していた点
  • 2016年~2018年までの3年間、税務申告をしていない点

1.「旅費」「衣服代」を、経費として計上した。

先に少しだけ、税金の基本的なお話をしておきます。

基本的な税金の計算は、次のとおりです。

所得 × 所得税率 = 収める税金額

※ 所得 = 収入 - 経費

サラリーマンの皆さんは、収入=年収(給料)になります。

経費が多ければ多いほど、所得の金額が小さくなるので、支払う税金も安くなります。

ただし、給料を貰うための「経費」というものは特にないので、経費はゼロとなり、収入=所得になります。

 

一方、個人で仕事をしているフリーランス(個人事業主)の場合には、自分で支払うお金(経費)が発生する場合が多いです。

たとえばYoutuberなんかも個人事業主でして、撮影のために使ったアイテムは経費として計上できますね。

タレントの場合も同様に、タレント活動のために使用するアイテム(衣服など)は、一部が経費計上できるはずです。

さて、ここからが本題です。

今回の徳井さんのケースでは、個人で使った旅費・衣服代を計上しています。

基本、「経費」というものは、「収入」を得るために使ったものだけが、計上できます。

今回は「個人で」使った(つまり遊びで使ったお金)さえも、「仕事のために使った」ということにして、税務申告をしています。

今まで普通に確定申告などをしている人であれば、個人で使ったものを経費計上してはいけない事なんて、分かるはずです。(さすがに「知らなかった」では済まされない。)

一方で、私的に使用したものを経費として申告する中小企業の社長が多い、という話も耳にします。

「周りがやっているから…」という感覚になったのかもしれませんね。

もちろん、ダメなものはダメでして、法的に完全アウトです。

 

2.税務申告をしていない

これは間違いなくアウトですね。

所得税の申告なのか、法人税の申告なのかは分かりませんが、どっちにしろダメですよね。

徳井さんが自分で確定申告、法人税額計算を行っているとは考えられないので、誰かに申告計算をお願いしているものと思います。

なお、税理士がついている場合には、このような事はまず起こりません…。(誰がどう見ても、やっちゃダメな行為ですからね。)

 

法的な罰則

徳井さんは上述の2012年~2018年までの7年間で、合計1億2000万円の「申告漏れ」を指摘されています。

うち2000万円(2012年~2015年の旅費・衣服代の件)については、意図的な所得隠しとして「仮装隠蔽」に該当し、重加算税を課されています。

「重加算税」は、脱税に関する行政処分として、最も重い罰則です。

国税局側も、非常に悪質であると判断したようですね。

 

故意にやったのか?

これは本人だけが知る事ですが、一般的に見れば故意であると考えられます。

吉本所属の芸人は、確定申告をするはずです。

そのため、芸人たちの間でも確定申告の方法は周知されているはず。

それを「しない」という選択を取るのは、普通ではないですよね。

大人になれば「忘れていた」では済まされない事も分かるはずですから、しっかりと確認してから判断するはずです。

そのため、故意である可能性は高いです。

また、だからこそ重加算税が課されたとも言えます。

 

徳井さんの件に関する、今後予想できる展開

いずれ記者会見等すると思いますが、次のような形での答弁が予想できます。

  • 所得税・法人税をすべて担当者に任せていたが、もっとチェックすべきだった。
  • 申告しなかった3年間については、「申告しなくても良い」と聞いていた。

おそらく誰かが申告作業を代行していると思いますので、基本的に「担当者からそう聞いた」というような内容になるでしょう。

逆に「自分の意思でやった」と言ってしまうと、筋が通らなくなります。(そしてそれを言うと、刑事罰の可能性が出てくる。)

しかし、処分としては「故意」による「仮想隠蔽」として、「重加算税」が課されています。

そのため、「故意にやったことになってしまったが、自分の認識が甘かった」というような答弁になるのかな、と考えます。

この辺りは、「一般の視聴者がどの程度税務に精通しているか」によってバランスを見る部分でしょう。(専門家からすると、「いや故意だろ」と言いたくなりますが。)

 

節税は良いけど、脱税はダメ

繰り返しになりますが、本件Yahooニュースの内容が正しいのなら、脱税になってしまいます。

税法をきちんと知っておかないと、意図しなくても重罪を犯す可能性があります。

フリーランスや経営者の方は、税金に正しい理解を。